「無人島に何か一つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?」
という質問。これに対する答え方は様々だ。
例えば、「ナイフ」という答え。
こう答える人は現実主義者で、さらにナイフ一本あればある程度なんとでも出来るという自信の持ち主ではなかろうか。
「ボート」と、答える人もいるだろう。
この人はお調子者か、逃避癖のあるひねくれ者、尚且つ自分は人より頭が切れるという自負がある。
「ゲーム」はどうだろうか。
恐らく楽観主義者で今を生きることを大切に思う人じゃないか?
このように、「無人島に何か一つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?」という質問の答えはその人の性格や人間性を示す一つの指標とされがちだ。
事実、この質問は昨今の就職面接において頻出される質問の一つとなっており、去年就活をしていた俺も、グループ面接の場で実際にこの質問をされたことがある。
そしてその時の俺の答えは「相方」だった。
理由は?という問いには、「三人寄れば文殊の知恵とも申しますし、いかに凡人でも複数集まれば生きる術や脱出の糸口をより良い形で見つけられると思うのです。」とかいうそもそも2人しかいねえじゃねえか然としたテンパった解答をした記憶がある。
恐らくこのとき面接官から見た俺の心象は「一人より複数人で行動することを好む凡人」とかだったのではないだろうか。
まあそう考えると、この質問は相手の人間性を推し量るのには全くあてにならないものだと思わざるを得ない。
なぜなら、俺は基本的に一人行動しかしないからだ。
別に友人がいないわけではない。断じて違う。ただ一人で講義を受けたり、一人で昼飯を食ったり、SNSなどで楽しそうに旅行なんぞにいそしむ男女グループを見てうわああああああああああ!となっているだけで友人がいないわけではないのだ。
だから、あの「一人より複数人で行動することを好む凡人」という俺に対する考察は的外れである(そもそも本当にそんな風に思われたかは知らないが)。
他の答えに対する考察についても同じことが言える。
例えば件のグループ面接の際、俺の右隣にいたイケメン。
彼は「釣り竿」と答えた。理由は「釣りは無人島における食料調達の手段の中で、最も効率的で確実な手段だと思うからです。」とかいう模範解答のような素晴らしい事を言っていた気がするのだが、彼は恐らく「無人島という誰の手も借りられない状況下においても、一人で自活手段を切り開くことのできる小栗旬似のイケメン」という心象を持たれたことと思う。
だが、これも間違っているのではなかろうか?
では実際の彼はどうなのかと言えば、「ただの魚好き。」というのが俺の見解だ。
根拠は「天は二物を与えない」という諺。この諺に基づくとイケメンでさらに自活手段まで持ち合わせているというのは、さすがにおかしい。天、与えすぎだろ!と抗議集会が起きてしまう。
よって、本当の彼はただの魚好きのイケメンということでQ.E.Dだ。
以上で「無人島に何か一つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?」という質問が如何にあてにならないかについては終わりにしようと思う。
余談だが、俺はこの会社は落ちたが、彼は受かったらしい。
世の中、グダグダ言わずに結果を出すのが一番すげえのである。
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羊の水海さんから「無人島」というお題を頂き書きました。次は酒飲みは日本語が不自由さんに「関東と関西」でお願いします。
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