計570円になりやーす!

「光。
 最後に浴びたのはいつだっただろうか。思い出そうとすると酷く頭が痛むし、なんだか身体も熱い。つい昨日の事のようにも思うし1年前の事であったかのような気もする。
ここはどこだろう?身体がベタつく。空から何か降ってくる。嫌!熱い!助けて!私まだ死にたく・・・
――――――
 
 始まりは確か、そうだ。
ひどく暗くて窮屈なところに誰かと一緒にいた気がする。
そこはとても狭かったけど凄く快適だった。そうして、その後・・・えーと、ああこの時だ。私が最後に光を浴びたのはこの時だったっけ。
私は一瞬だけだけど陽の光を浴びた。でもそれも束の間、私はどこか暗いところに再び、まるで自分の意志とは関係なく、引きずり込まれた。
 
 
 次の記憶は水の中。私は水の中にいた。最初のところほどではなかったけれど、ここもそれなりに快適だった。それまでお風呂になんか入れなかったから、なんだか身体が綺麗になってるようで、気持ちよかったのを覚えている。
 
 そして水からあがったら今度はフカフカするお布団みたいなところに横たえられた。
なんだか誰かに無理やり生活を管理されてるみたいで少し、嫌だったけど疲れもあったからかすぐに私は眠ってしまった。
 
 その後は長い夢を見ていた。
自分がどんどん大きくなる夢。
まるで芋虫の座ってるキノコを食べた不思議の国のアリスみたいだなって思った。でもアリスと一緒で自分が大きくなると世界が狭く感じてしまう。頭はつっかえるし、周りと押し合いなるしであまり居心地は良くなかったかな。
 
 夢から醒めると私はそこにいた。
金属で出来た、ドームを逆さまにしたようなところに私はいた。なんだか怖くて落ち着かなかった。
周りの大勢も私と同じように辺りをキョロキョロ見回している。
 
 そうこうしてるうちに突然、上から大量の水が降り注いだ。雨っていうよりかは滝に近いような水。私は水流に踊らされながら、最初にいたところのことを考えていたと思う。
 
 その後のことはよく覚えてない。
覚えているのは身体が焼かれたように熱くなって、そしてその後私は違うモノに変わってしまったってことだけ。
 
そう、私はもやし。もやしだった。
 
 でも今の私は・・・・。
 
 今の私の名前は・・・モヤシ炒め。と、生ビールでお待ちのお客様ー!どうもお待たせ致しましたー!!」
 
『食いにくいわ!』
 
 

VIPでテキストサイトのバトンリレー企画で、「そうだFLASHしよう」のユチルタさんから「光」というお題を頂き、書きました。光全然関係ねえなこれ。

次は「カオハキ」のhirosukeさんに「女子高生」でお渡しします。